オフショア法人を開設した場合、支出や送金の管理、そしてキャッシュレス決済が可能など様々な点で、オフショア法人のクレジットカードを利用したいと考える法人は少なくありません。ここで言うオフショア法人とは、外国に設立された法人のことを指し、特にケイマン諸島やバハマなどのタックスヘイブンと呼ばれる国や地域で設立されることが多く、これらの地域では、法人税が低いか、場合によっては全く課税されないため、税務上のメリットが期待できます。また、情報の秘匿性が高く、セキュリティの保護というメリットも持ち合わせています。
クレジットカードは国際送金の手段として非常に有効です。従来の電信送金に比べて手数料が低く、処理時間も短いため、迅速かつ効率的な送金が可能になります。さらに、オフショア法人クレジットカードは、個人名義ではなく法人名義で発行されるため、個人情報を公開することなく取引を行うことができます。個人情報の漏洩が問題視されている中、クレジットカードはセキュリティ対策も充実しているため、個人情報の保護に役立ちます。そして、オフショア法人クレジットカードは、国際的な取引の決済のみならず日常的な経費の支払いまで、幅広い用途で利用されます。例えば、オフショア法人が海外で業務を行う際、現地通貨での支払いが必要となる場合があります。このような場合、クレジットカードを利用することで、為替手数料を削減し、迅速かつ安全に支払いを行うことができます。また、クレジットカードの利用明細は、すべての取引が記録されるため、会計処理や税務申告の際にも便利です。そして資金繰りの改善です。クレジットカードを利用することで、支払いを一時的に先延ばしにすることができるため、資金の流動性を確保しやすくなります。また、取引の透明性が向上し、すべての支出が記録されるため、不正行為の防止にも役立ちます。さらに、多くのクレジットカードには、ポイント還元やキャッシュバックなどの特典が付帯しており、これらを活用することで経費を削減することも可能です。が、しかし、クレジットカードの利用にはリスクも伴います。不正利用や情報漏洩のリスクを最小限に抑えるためには、適切なセキュリティ対策が必要です。具体的には、カード情報の管理を徹底し、不正利用の兆候があれば直ちにカード発行会社に報告することが挙げられます、また、従業員がカードを利用する際には、利用目的や限度額を明確に定めることで、管理の効率化を図ることができます。
オフショア法人は、世界中の金融機関で口座を開設することができる可能性を持っています。しかしながら、タックスヘイブンを利用し、節税や資産管理をするといった本来の目的から外れ、マネーロンダリングなどの違法行為や、過度な節税による脱税などの歴史から、以前と比べると規制が強化されています。日本でもタックスヘイブン対策税制が強化され、簡単に節税を行うことが難しくなりました。また、国際的に見ても、租税条約を多くの国が締結しており、CRSに加盟する国が増えています。CRSは、OECD(経済協力開発機構)を中心として、国境を越えた金融口座情報の自動交換を行う国際的な制度で、租税回避の早期発見・防止に効果を発揮しています。それらから、簡単に銀行口座を開設できる状況でなくなっているのが現状です。
オフショア法人名義のクレジットカードを所持するには、銀行などの金融サービスで口座開設をし、クレジットカードを申請するしか方法はないので、やはり銀行口座開設がポイントになってきます。そのため、設立仲介を業務とするオフショア法人管理業者などの専門家のサポートを受けながら、オフショア法人開設を含め、銀行口座開設そしてクレジットカードの申請をする事が重要になってきます。特にオフショア法人管理業者などの専門家はオフショア法人開設にあたって情報を数多く持ち合わせています。この中には銀行口座の情報も含まれています。そのため、オフショア法人だけでなく、その法人が持つべき銀行口座もスムーズに開設できるケースが多く見受けられます。
法律や財務、さらにはオフショア法人管理業者などの専門家のサポートを受けながら、オフショア法人、その法人の銀行口座やクレジットカードの取得に取り組めば、スムーズな法人経営につながります。