オフショア法人

マーシャルでIBCを活用したオフショア法人戦略

マーシャルでIBCを活用したオフショア法人戦略オフショア法人とは、自国(居住国)以外の国や地域で設立される法人のことを指します。特に法人税率が低い、または課税されない地域、いわゆる「タックスヘイブン」で設立されるケースが多く、税金の軽減や資産の保護、国際取引の利便性向上を目的として活用されます。タックスヘイブンは、租税回避地と呼ばれ、法人税や所得税などの税率が極めて低い、もしくはまったく課税しない国・地域を指します。英語では「Tax Haven」と呼ばれ、直訳すると「税金の避難所」という意味になります。これらの地域は、外国企業や富裕層の資産を誘致することを目的として、緩やかな税制と簡素な法人設立制度を提供しています。多くのタックスヘイブンでは、非居住者によって設立された法人に対して、現地での課税を免除する一方、財務情報の開示義務も限定的です。これにより、企業や個人は合法的に税負担を軽減しつつ、資産の保全や匿名性の確保といった目的を達成することができます。

マーシャルアイランド共和国(Republic of the Marshall Islands)は、太平洋中部に位置する島嶼国家で、29の環礁と5つの島から構成されています。首都はマジュロ環礁で、公用語は英語とマーシャル語です。人口は約5万人と少なく、広大な排他的経済水域(EEZ)を有するのが特徴です。政治的にはアメリカ合衆国と「自由連合協定(Compact of Free Association)」を結んでおり、外交や防衛の面で強く連携しています。この協定により、マーシャルアイランドは独立国でありながら、安定した国際的地位と米ドル通貨の使用を確保しています。同国は、法人税ゼロや簡便な企業設立制度を背景に、国際ビジネス会社(IBC)の設立地として知られており、長年にわたってタックスヘイブンとしての役割を担ってきました。

マーシャルアイランドにおけるIBC(International Business Company/国際事業会社)は、主に非居住者向けに設立される法人形態で、国際的な資産保全、節税、機密保持を目的としたビジネスに活用されています。IBC制度は、1990年に施行された「Business Corporations Act(BCA)」に基づき運用されており、柔軟かつ匿名性の高い会社設立を可能にしています。マーシャルアイランドのIBCには、以下のような特徴があります。IBCはマーシャルアイランド国内での営業活動を行わない限り、法人税・所得税・キャピタルゲイン税などが免除されます。これは典型的なタックスヘイブンの仕組みであり、国際的な節税戦略の一環として活用されています。また、IBCは通常、数営業日以内に設立が可能です。最低1名の取締役と1名の株主で設立でき、両者が同一人物でも問題ありません。取締役・株主は個人でも法人でも可能で、国籍・居住地の制限はありません。そして、マーシャルアイランドでは、取締役や株主の情報は公開登記されず、会社登記簿も非公開です。これにより、資産保有者や実質的支配者(UBO)の匿名性が確保され、プライバシーの保護が強く意識されています。さらに、IBCには、財務諸表の提出や会計監査の義務がありません。また、年次報告書の提出も不要なため、運営コストが抑えられると同時に、事務手続きの負担も少ないという利点があります。マーシャルアイランドのIBCは、銀行口座開設、株式保有、不動産取得、信託設定など、さまざまな国際的資産管理スキームに対応可能です。また、株式の譲渡も自由で、柔軟な所有構造を設計できます。

マーシャルアイランドにおけるIBC(International Business Company)は、税務上の優遇措置や匿名性の高さを活かして、さまざまな国際的ビジネスや資産管理に活用されています。例えば、国際取引のための貿易会社を設立し、IBCを通じて第三国との取引を行うことで、税制上のメリットを享受できます。また、個人資産の保全を目的として、IBCを通じて金融資産や不動産などを保有するケースがあります。IBCを使うことで資産を直接的な所有から切り離したり、IBCと信託や財団を組み合わせることで、相続税対策や後継者へのスムーズな資産移転も可能です。さらには、特許、著作権、商標などの知的財産をIBC名義で保有し、その使用料(ロイヤリティ)を世界中から受け取ることで、税負担を軽減できます。特にテクノロジー企業やコンテンツビジネスに従事する法人・個人にとっては、効果的な収益構造の設計が可能となります。そして、投資家が株式、不動産、スタートアップ企業などに投資を行う際、IBCを「投資ビークル(SPV:特別目的会社)」として活用することで、匿名性を保持しつつリスクの限定化を図れます。また、投資による利益をIBCに集約し、再投資や国際送金を柔軟に行うこともできます。

このように、マーシャルアイランドでIBCを設立し、運用することには大きなメリットがあります。そのメリットを最大限享受する、そして的確な運用をするためにも、その道に通じた弁護士や、設立代行を主業務とするサービスプロバイダを頼る事が一番の近道だと言えます。